白馬の王子様? いや、まさかの「ダチョウ」!? 誤解され続けた名作「ジャウスト」の真実とは
白馬に乗った王子様はカッコいい。
最新鋭の戦車を操る荒くれ者もまたカッコいい。
では、「ダチョウに乗って戦う主人公」はどうでしょうか?
「なぜ、ダチョウなんだ…!?」誰もがそうツッコミたくなる、
その奇妙な光景こそが、今回ご紹介するファミコンアクションゲーム、
「ジャウスト」の最大のインパクトかもしれません。
1987年、あの「星のカービィ」シリーズでお馴染みの
その独特の世界観とシンプルな操作性で、
一部のコアなファミコンユーザーに愛されてきました。
しかし、「ジャウスト」には、
日本での発売において、ある「不運」な境遇がありました。
実は、このゲームの原型はアメリカで先にリリースされており、
後に日本で大ヒットした名作「バルーンファイト」は、
この「ジャウスト」をモチーフに開発されたと言われています。
つまり、「ジャウストはバルーンファイトをパクった」のではなく、
本来は「バルーンファイトはジャウストをパクった」と語られるべきだったのです。
しかし、国内での発売日が「ジャウスト」よりも「バルーンファイト」の方が先だったため、多くのプレイヤーが「ダチョウに乗ったバルーンファイト?」という、
謂れのない誤解を抱くことになったわけです。
そんな紆余曲折を経て世に出た、
記念すべきアクションゲーム「ジャウスト」。
その真の魅力を今こそ掘り下げていきましょう。
ダチョウに乗ってフワフワ! バルーンファイトに通じる「空中戦」の醍醐味
「ジャウスト」のゲームシステムは、
シンプルながら奥深いものです。
プレイヤーは槍を持った主人公を操り、
ダチョウに乗って空中を羽ばたきながら、
他のダチョウに乗った敵を槍で撃ち落としていきます。
まるで、あの名作「バルーンファイト」のように、
独特の浮遊感と空中での位置取りが鍵を握るアクションゲームでした。
空中をダッシュしたり、
羽ばたいたりする操作感は、慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。
しかし、一度慣れてしまえば、
敵のダチョウの頭上から槍を突き刺し、見事に撃ち落とす爽快感は格別です。
ファミコン初期のアクションゲームらしい、
シンプルな操作性と明快なルールは、
誰でも気軽に楽しめる敷居の低さがありました。
「安全地帯」が消える!? ハラハラドキドキの足場システム
この「ジャウスト」を語る上で欠かせないのが、そのステージ構成です。
例えるなら、「スーパーマリオ」ではなく、「マリオブラザーズ」のような、
左右ループする単一画面でゲームは進行します。
ゲーム開始時、ステージにはたくさんの足場が用意されており、
プレイヤーは敵の攻撃を避けながら、
安全な位置から優位に攻撃を仕掛けることができます。
しかし、ステージを進めていくと、
この足場が徐々に減っていくという仕掛けが、
このゲームを最高に盛り上げてくれるのです。
序盤は、高い位置から敵のダチョウを一方的に撃ち落とすことができ、
まさに楽勝ムード。
しかし、後半になると、今まで頼りにしてきた足場が急に消滅!
プレイヤーは、低い位置で相手のダチョウと互角の、
否、時には不利な状況での真剣勝負を強いられます。
「今まで楽勝だったのに、急に難しくなる!」この緩急のつけ方が、
非常に巧妙で、プレイヤーを飽きさせません。
「やっぱりアクションゲームはこうでなくちゃね!」と思わせてくれる、
シンプルな中に隠された奥深さがありました。
ファミコン初期のアクションゲームは、
とかくシンプルな作りになりがちですが、
そのシンプルさを逆手に取り、ゲーム性を向上させている点は、
まさにHAL研究所の腕の見せ所と言えるでしょう。
味方も敵に!? 友情破壊の「二人同時プレイ」の魔力
「ジャウスト」は、あの「マリオブラザーズ」と同じく、二人同時プレイが可能です。
そして、この二人同時プレイの面白さが、
今の時代のゲームにも負けないほどの「凄さ」を秘めていました。
なにせ、味方であるはずの相棒のダチョウにも、
こちらの槍が当たってしまうのです!
油断していれば、味方から不意打ちを食らって撃ち落とされることも。
今まで協力していたはずの仲間が、
気まぐれにこちらに槍を突き出してくる……。
この「裏切り」の可能性こそが、
「ジャウスト」の真骨頂であり、
友達とのプレイを一層白熱させる要素だったように思います。
時に罵り合い、時に笑い合う。
そんな、ファミコンならではの「対戦」の醍醐味が、このゲームには凝縮されていました。
「ダチョウの羽音」だけが響く静寂の戦場
しかし、このゲームには、
当時のファミコンゲームとしては珍しい、ある特徴がありました。
それは、「ステージが基本的に無音」であること。
ゲーム中に響き渡るのは、
プレイヤーがダチョウを操作する際の「バサ!バサ!バサ!」という羽ばたく音と、
敵を撃ち落とした時の効果音のみ。
ゲームミュージックという洒落たものは一切ありません。
これは、「昔のゲームらしいな…」と懐かしさを感じる反面、
当時としては少し物足りなさを感じたのも事実です。
特に、後発で素晴らしいBGMを持つ「バルーンファイト」を経験した後では、
この「ジャウスト」の静寂は、より一層際立って感じられたことでしょう。
それでもなお、このゲームが面白いと感じさせるのは、
その根底にあるゲームシステムの完成度の高さと、
シンプルだからこそ楽しめる中毒性があるからこそ。
「音楽はなくても面白い!」という、作り手の自信が垣間見えるような作品でした。
「バルーンファイトの元ネタ」という衝撃!今こそプレイすべき「隠れた名作」
「ジャウスト」は、当時の雰囲気を楽しむには最高の、
まさに王道のレトロアクションゲームです。
基本的には「バルーンファイト」に似ていますが、
足場が徐々に減っていくという仕掛けのおかげで、
よりハラハラドキドキのスリルを味わうことができます。
二人同時プレイは、今の時代でも友人や家族と熱中できる面白さ。
そして何より、「バルーンファイトの元ネタ」という、
意外な背景を知ってプレイすると、その歴史的価値も相まって、
より一層ゲームが面白く感じられるはずです。
ステージに響き渡るのはダチョウの羽音だけ……。
それなのに面白いのだから、本当に凄いゲームですよね。
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