製作者を撃ちたい!ガンコン前提の鬼畜難易度に挑め『タイムクライシス』

体感型のシューティングゲームは、当時の子供たちにとって憧れの存在でした。
なぜなら、自宅のリビングが、そのままゲームセンターに早変わりするからです。
銃型のコントローラーを手に、テレビ画面に向かって引き金を引く。
この、自分が本当に敵を撃っているかのような感覚は、
当時の子供たちにとって最高のエンターテイメントでした。
しかし、そんな体感型シューティングゲームの中には、
あまりにも難しすぎて、プレイヤーの心をへし折りに来る、
とんでもない作品も存在しました。
今回ご紹介するのは、その中でも群を抜いてイカレていると噂の、
1997年にナムコから発売されたこのプレイステーション用ソフトは、
あまりにもハードで、そしてあまりにも理不尽な「絶望の銃撃戦」が詰まった、
まさに危険な一本だったのです。
制限時間つきのガンシューティングが、プレイヤーを地獄に突き落とす
『タイムクライシス』は、
当時ゲームセンターで大人気だった同名アーケードゲームの移植作品です。
プレイヤーは凄腕エージェント「リチャード」となり、
悪の犯罪集団「ワイルドドック」に誘拐された
大統領令嬢「レイチェル」を助け出すために戦います。
ゲームのシステムは、
他のガンシューティングとは一線を画していました。
「バーチャコップ」や「ハウスオブザデッド」では、
画面外を撃つことでリロードするシステムが一般的でしたが、
本作では「障害物に隠れる」ことでリロードを行います。
この「隠れる」というアクションは、
プレイヤーを敵の猛攻から守る無敵時間にもなっていました。
- 障害物に隠れては撃つ
- 隠れては撃つ
- 隠れては撃つ
一見すると、非常に安全に戦えるシステムに思えます。
しかし、このシステムには、
プレイヤーの心をへし折りに来る、とんでもない「罠」が仕掛けられていたのです。
その罠とは、「制限時間」。
このゲームでは、
各シーンごとに60秒という短い制限時間が設定されており、
その時間内に画面上の敵を全て倒さなければなりません。
もし60秒がなくなってしまうと、
たとえライフが満タンでも、問答無用でゲームオーバーになってしまうのです!
「リロード中は無敵」という安心感を与えつつ、
「リロード中も時間は進んでいる」という、あまりにも理不尽なシステム。
プレイヤーは常に、
敵の猛攻を避けるために隠れるべきか、
それとも時間を気にして攻撃を続けるべきか、という二択を迫られることになります。
早く敵を撃たなければゲームオーバーになる焦り。
しかし、焦れば焦るほど照準は定まらず、時間だけが過ぎていく……。
敵に撃たれて死ぬよりも、時間切れで死ぬ方が圧倒的に多い、
そんな新感覚のガンシューティングだったのです。
コントローラーでプレイすると、もはや「地獄」レベルの鬼畜難易度
このゲームの鬼畜っぷりは、制限時間だけではありませんでした。
敵の出現数の多さも、異常でした。
- 画面の端から端まで、敵がひしめき合っている
- しかも、真ん中にも大量の敵がいる
- 銃の装弾数はたったの6発
どう考えても弾数が足りません。
これが、専用の銃型コントローラー「ガンコン」を使ってプレイするなら、
まだどうにかなるかもしれません。
しかし、通常のコントローラーでプレイしようとすると、話は別です。
画面上のカーソルをスティックで動かすのですが、
その移動速度が非常に遅い!
そのため、端から端へと照準を合わせるのに、
貴重な時間がどんどん奪われていきます。
私はこのゲームをコントローラーで3時間ほどプレイしましたが、
ステージ2のボスにすら勝てませんでした。
ステージは全部で3つしかないのですが、
それでもクリアするには、とんでもないテクニックが必要となります。
「ガンコン前提の難易度って、バカかよ!」
思わずそう叫んでしまうほどの、理不尽なゲームバランス。
ガンコンを使っても難しいと言われていたゲームを、
コントローラーでクリアするのは、もはや不可能に近いと言えるでしょう。
しかし、この理不尽さこそが、
多くのプレイヤーを熱狂させた要因なのかもしれません。
このゲームをコントローラーでクリアできたなら、
それは間違いなくゲームの天才と言えるでしょう。
絶望の中に光る、小さな幸福
このゲームは、
絶望的な難易度と理不尽なシステムに満ちていますが、
それでもプレイヤーを惹きつける魅力がありました。
それは、「絶望の中に見える、小さな光」です。
- 時間が切れそうなときに、敵を全滅させてタイムが少しだけ回復する
- 敵の猛攻をギリギリでかいくぐり、反撃を叩き込む
- 何度もプレイして、敵の出現パターンを記憶し、少しずつ進める距離が伸びていく
そんなささやかな成功体験が、プレイヤーの心を捉えて離しません。
「次こそは、あのステージをクリアしてやる!」
何度ゲームオーバーになっても、そう思わせてくれる中毒性が、
このゲームには詰まっているのでした。
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