ヒロインを好きになり、ヒロインを嫌いになり、そしてまたヒロインを好きになる!?

数多くの作品が世に送り出されました。
しかし、あれほどたくさんの作品があったはずなのに、
今でも記憶に残っているのは「かまいたちの夜」だけ…という人も少なくないでしょう。
ですが、そこで諦めてしまうのは、
せっかくレトロゲームを遊んでいるのに、あまりにもったいない!
だったら、時間を遡ってでも遊ぶべき「隠れた名作」を、この機会に体験してみませんか?
今回ご紹介するのは、私も最近になるまで存在すら知らなかったマイナーゲーム。
しかし、そのディープな世界観に心を奪われた一本、
スーパーファミコン用ソフト、『月面のアヌビス』の感想です!
『月面のアヌビス』とは? SF宇宙サスペンスとサウンドノベルが奇跡の融合!
『月面のアヌビス』は、
1995年にイマジニアから発売されたサウンドノベル作品です。
『ざくろの味』と同時に発売されたという、
世にも珍しいぶっ飛んだ戦略がとられた作品でもありました。
定価も11,800円という強気の値段設定で、
2本同時に買うのはほぼ不可能という状況だったそうです。
そんな『月面のアヌビス』のあらすじは、
謎めいた隕石が衝突した月面研究所を調査に向かうところから始まります。
「あれ?帰ってきた船員の様子がおかしくないですか?」…この一言に、
全ての恐怖とサスペンスが凝縮されています。
ゲームの目的は、
月面研究所の宇宙飛行士に選ばれた主人公「啓介」と、
もう一人のメインキャラクターである「香織」を操り、
この危険な状況をどうやって打破していくのか。
ゲームシステムは、
オーソドックスなサウンドノベルで、
『かまいたちの夜』や『魔女たちの眠り』に似た感覚で楽しめます。
しかし、本作のユニークな点は、
序盤に選んだ選択肢によって主人公の性格が変化していくという不思議なシステムです。
「慎重」「臆病」「ふざけた」など、
性格によって見られるエンディングが変わってくるため、
何度も繰り返し遊びたくなります。
これまでのサウンドノベルは
ホラー系が圧倒的に多かったのですが、
本作は「月面」というSFの世界観を巧みに表現した、
非常に珍しいサウンドノベルでもありました。
マイナーゲームながら遊び応えは抜群!ぜひ今の時代に遊んでほしい作品です。
かまいたちの夜に匹敵!? 想像を絶するゲームボリュームと、メモ必須の分岐シナリオ!
このゲーム、私はほとんど事前情報なしでプレイしました。
たまたま中古ショップで見かけて、
「サウンドノベルらしい」というだけで購入してみたんです。
そして、宇宙を舞台にした壮大な作品だと知り、そのスケールに驚きました。
主人公とヒロイン以外、
全てが外国人キャラクターで構成されているという、
未だかつてない「覚えにくさ」も衝撃的でした。
「マシュー?マリー?ヨーゼフ?…誰だっけ?」と、
正直、最初はあまり期待せず、
「メインルートだけ遊んだら終わりにしようかな」といった感じでした。
しかし、物語が進むにつれて、
どんどんそのディープな世界観に引き込まれていき、
「やばい、達成率を100%にしたい!!」と、すっかり夢中になっていましたね。
- メインルートをクリアするのに約3時間。
- サブルートをクリアするのに約2時間。
- おまけのルートをクリアするのに約3時間。
- 全てのエンディングを埋めていくのに約10時間。
合計すると、『かまいたちの夜』や『学校であった怖い話』並みの、
とんでもないゲームボリュームがありました。
『魔女たちの眠り』や『夜光虫』といった他のマイナーサウンドノベルが短編だったため、「マイナーサウンドノベルは短いよね」というイメージを、
良い意味でぶち壊してくれた作品でした。
テキスト表示が遅く、
読み進めるのが少し辛い部分もあったのですが、
「このシナリオの結末を知るまでは、絶対にやめられない!」という強い気持ちで、
最後まで遊び抜きましたね。
『学校であった怖い話』の時と同様に、この『月面のアヌビス』も、
しっかりとメモを取りながらプレイすることをおすすめします!
メインルートをも凌駕する恐怖と面白さ「記憶喪失篇」が、あなたを戦慄の推理劇へ誘う!
このゲームのメインルートは、
地球外生命体の侵略から、どうやって生き延びるのか?という目的が中心に展開されます。
しかし、それ以外にもたくさんの「おまけルート」が用意されており、
その中でも特に、メインルート並に濃厚で、
しかも「怖くて、面白すぎる」シナリオがあります。
それが、「主人公が記憶喪失」になってしまうルートです。
宇宙飛行士であるはずの主人公が、なぜか地球にいて、
その間にあった宇宙での出来事をすべて忘れている…そんな始まり方をするこのルート。
プレイヤーは、主人公に「逆行催眠」をかけ、
「今までにあったことを、一から思い出していきましょう」という形で追体験していきます。
最初は和気あいあいとした雰囲気だった宇宙船のクルーたちが、
とある殺人事件をきっかけに、どんどん疑心暗鬼になっていく…。
犯人は誰なのか?
誰が生き残り、誰が死んでしまうのか?
そして、どうやって自分は地球に帰還できたのだろう?
ヒロインは無事なのだろうか?
こんなことを推理しながら進んでいくのが、たまらなく面白いんです。
その中でも特に秀逸なのが、
「自分が見た夢の通りに、殺人事件が起こる」という、主人公が持つ嫌な特殊能力。
逆行催眠の効果なのか、もしかしたら本当に…?なんて感じで、
プレイヤーを最高のドキドキ感で引き込んでくれます。
正直、もしこのシナリオが無かったら、
「『月面のアヌビス』って、まあまあかな…」といった感想だったかもしれません。
しかし、この「記憶喪失篇」があるおかげで、
「『月面のアヌビス』、買って大正解だった!」と、心底から思わされたのです。
まるでサスペンス映画を観ているかのような興奮を味わえる、
まさに名作シナリオと言えるでしょう。
守ってあげたい可愛さから「知的なスーパーウーマン」へ!
ヒロインの多面性が織りなす究極の「ギャップ萌え」!
このゲームが他のサウンドノベルと一線を画すのが、
「ヒロイン目線のルート」が用意されている点です。
今までは主人公の目線で物語を進めていたのに、
このルートに入った瞬間、それまでの世界がガラリと変わります。
「あの事件の時、実はヒロインはこう思っていたんだ…」
そんな裏話的なシナリオが明かされるのです。
今までは守ってあげたかった、可愛らしい印象のヒロインが、
このシナリオに入った瞬間に、とんでもなく豪快な女性へと変化します。
言っているセリフの裏では、全く逆のことを思っていたり、
主人公の酷さに呆れ返っていたり、
面白いと言っていたギャグにも完全にドン引きしていたり…。
こんな一面を見てしまうと、
思わずヒロインのことが嫌いになってしまうかもしれません。
「あんなに守りたかったヒロインなのに、なんて酷いんだ…!」と、
プレイヤーはきっと衝撃を受けるでしょう。
しかし、こんな一面を見せたヒロインなのですが、
シナリオを進めていくごとに、
彼女の行動の真意や、その裏に隠された謎が少しずつ解明されていき、
結局はまた好きになってしまうんですよね。
「ダメな主人公をうまく誘導して、事件を円滑に進める」。
そんな知的で頼りになる「スーパーウーマン」へと早変わりする姿は、
本当に魅力的です。
「守ってあげたい、可愛らしいヒロイン」からの
「冷め切っている、性悪女」からの
「知的なスーパーウーマン」。
このギャップがたまらなく魅力的なのです。
同じメインルートをプレイしているはずなのに、
視点を変えるだけで、こんなにも違った世界が見える。
そんな衝撃的なシナリオ体験を、ぜひ味わってみてください。
『月面のアヌビス』まとめ 知られざるサウンドノベルの傑作!
なぜ遊んでほしいのか?
マイナーゲームということもあり、
名前すら聞いたことがない人も多いかと思います。
だからこそ、ゲーム内容が語られることも少なく、
ネタバレが少ないのも良い点かもしれませんね。
ホラー系というよりは、サスペンス系のサウンドノベルなので、
怖いのが苦手な人にもおすすめです。
何がそんなに面白いのか?
シナリオが変わることで、
キャラクターたちの雰囲気もガラリと変わるため、
新鮮な気持ちで何度もプレイできるのが良かったです。
コミカルなシナリオから、シリアスで考察しがいのあるシナリオまで、
ボリューム満点のサウンドノベルを存分にお楽しみください。
「かまいたちの夜」には勝てなかったかもしれないけれど、
「かまいたちの夜」並みには楽しめる。
それこそが、『月面のアヌビス』の奥深い魅力なのです。
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