格下力士の苦労を体験せよ!RPG要素が斬新すぎる相撲ゲーム『寺尾のどすこい大相撲』

大相撲中継を見ているとき、最も胸が熱くなる瞬間。
それは、圧倒的な強さを誇る横綱に、若き格下力士が挑み、
そして勝利する姿を見たときではないでしょうか。
これまでの経験や力の差を、
若さと勢いだけで覆していく姿は、観ている私たちに最高の感動を与えてくれます。
しかし、そんな奇跡はめったに起こりません。
今回ご紹介するのは、
そんな格下力士の辛さをプレイヤー自身が体験できる、異色の名作ゲーム、
その名も『寺尾のどすこい大相撲』。
RPG要素で強くなれ!前代未聞の相撲ゲーム
『寺尾のどすこい大相撲』は、
1989年にジャレコから発売されたファミコン専用のスポーツゲームです。
当時人気力士だった寺尾関を主人公にした、画期的な相撲ゲームでした。
ゲームの目的は、前頭12枚目からスタートし、最強の横綱を目指すという、
力士のサクセスストーリーを体験することです。
ゲームシステムは、
投げ技を繰り出すボタンと、突っ張りや押し込みを行うボタンの2種類を使って、
相手を土俵の外に押し出すというオーソドックスな相撲ゲームです。
このゲームには、主に2つのモードが用意されていました。
- 横綱を目指して昇進していく「昇進モード」
- 奪われた「しはい」を探すために日本を一周する「日本一周モード」
特にユニークだったのが、この「日本一周モード」です。
これは、寺尾関が角界に入門する前の物語を描いており、
まるでRPGのように、野良力士たちがエンカウントしてくるのです。
敵の力士を倒すと、おにぎりや巻物といったアイテムが手に入り、
これらを使ってキャラクターを強化していくことができます。
- おにぎりを食べて最大体力を上昇させる。
- 巻物を使って新しい必殺技を覚える。
このモードでいかにしっかりと能力を上げていくかが、
その後の「昇進モード」で横綱を目指すための近道でした。
ただボタンを連打するだけでは勝ち進むことができない、
奥深いゲームシステムに多くのプレイヤーが夢中になりました。
相手より力がなければ、ただの一歩も押せない!
このゲームには、相撲の基本ともいえる、ある重要なルールがあります。
それは、
「相手より体力がなければ、まったく相手を押し込むことができない」というものです。
現実の相撲では、
力の差があっても、勢いやテクニックで相手を押し込むことは可能です。
しかし、このゲームでは、力に劣る力士は相手を押すことすらできません。
ゲーム序盤は、主人公の能力が圧倒的に低いため、
真正面から相手を押し込むという力技はまったく通用しません。
そこで重要になるのが、いかに相手の体力を減らすかという戦略です。
相手が無理に投げ技を仕掛けてきたときにカウンターを決めたり、
タイミングよく投げ技を成功させたりすることで、
相手の体力を少しずつ削っていくことができます。
そして、相手の体力が自分よりも低くなれば、
ようやく押し込んで倒すことができるのです。
しかし、この「相手の体力を削る」という作業が、本当に大変でした。
なぜなら、体力差があると、
相手の押し込むスピードや技の成功率が格段に上がるため、
一瞬たりとも気が抜けなかったからです。
場所が進むにつれて主人公の能力が上がり、
対等に戦えるようになりますが、序盤の圧倒的な不利な状況を乗り越える面白さが、
このゲームの醍醐味でした。
まとめ
『寺尾のどすこい大相撲』は、
相撲ゲームとRPGを融合させた、奇跡のような作品です。
入門前に野良力士を倒して能力を上げるという、
『パワプロ』のサクセスモードを先取りしたような感覚が最高でした。
他の相撲ゲームに比べ、
試合の進行が非常にスピーディーなのも特徴です。
こちらが優勢であれば数秒で決着がつきますし、
相手が優勢であればあっという間に負けてしまいます。
この相手との力の差を、
自分のテクニックで補う楽しさが、このゲームの中毒性を高めています。
とんでもなく難しい格闘ゲームが好きな方なら、きっと夢中になること間違いなしです。
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