弱肉強食の頂点に立て、そしてその世界観にドン引きしろ! 『TOKYO JUNGLE』の世界へようこそ!
- 発売年: 2012年
- 機種: PlayStation 3
- ジャンル: サバイバルアクション
- 参考価格: 1000円
- プレイ時間: 攻略ルートなら約10時間。しかし、やり込み始めると100時間以上も……?
- このゲームに対する世間の評価: 「動物版『無双』? いや、それだけじゃ収まらない!」
- こんな人におすすめ: 独特なゲーム体験を求める人、コツコツと育成するのが好きな人、そして何より動物たちの生き様にロマンを感じる人!
ムツゴロウさんが語った、動物たちの「本能」の物語
ゲームの話を始める前に、心に深く刻まれたエピソードを一つご紹介させてください。
かつて、伊集院光さんのラジオ番組に、
タレントのムツゴロウさんが出演されていました。
彼は、動物たちの生態や習性について、
まるで自身の体験談のように生き生きと語ってくれました。
その中で、忘れられないのが「大地震」の話です。
ある日、家が壊れるのではないかと思うほどの激しい地震が起こったそうです。
恐怖で身がすくむムツゴロウさん。
しかしその時、飼っていた動物たちに異変が起きたと言います。
外にいた犬たちが、なんとガラス窓やドアを突き破って、
一斉に家の中になだれ込んできたのです。
その数匹の犬たちは、まるで飼い主を守るために、
本能のままに必死で駆けつけてきたかのようだったと。
その話を聞いたとき、私はただただ感銘を受けました。
言葉を交わすことはできなくても、
動物たちは私たちと深い絆で結ばれており、いざという時には本能のままに動く、
とてつもない存在なのだと。
もし、そんな本能に溢れた動物たちだけが暮らす世界があったとしたら?
もし、人間が消えた世界で、彼らが弱肉強食の頂点を決めることになったとしたら?
そんな壮大でロマンあふれる疑問に答えるかのように生まれたのが、
今回の主人公であるポメラニアンが、
百獣の王ライオンから王者の座を奪う物語……『TOKYO JUNGLE』なのです。
『TOKYO JUNGLE』とは、どんなゲームなのか?
このゲームは、
2012年にソニーから発売されたPlayStation 3専用のサバイバルアクションゲームです。
実は、このゲームの噂は発売される前からかねがね耳にしていました。
「サイコで、バイオレンスな、大人のポケモン」と称される伝説のゲーム
『リンダキューブ』の世界観に強くインスパイアされた、
とんでもない作品が開発されているらしい……。
そんな期待に胸を膨らませたのを今でも覚えています。
何度も発売延期を繰り返して、ようやく世に放たれたのが、
この『TOKYO JUNGLE』でした。
ゲームの舞台は、
荒廃し、人間が姿を消した近未来の日本。
プレイヤーの目的は、この過酷な世界で生き抜くこと、
そして「なぜ人間がいなくなってしまったのか?」という謎の痕跡を探すことです。
しかし、シリアスなストーリーモードの裏側には、
広大なフィールドを自由に探索し、
自分だけのサバイバルライフを満喫できる自由度の高さが隠されています。
ゲームシステムは、
一見するとオーソドックスなアクションゲーム。
広大なマップを探索し、敵を倒し、ミッションをクリアしていく。
例えるなら、『グランド・セフト・オート』の自由度と、
『無双シリーズ』の爽快感を融合させたような、
まさに「アニマル無双」と呼ぶにふさわしいゲームなのです。
ポメラニアンからサラリーマンまで!? 圧巻のキャラクターラインナップ
『TOKYO JUNGLE』の最大の魅力は、
なんといってもその個性豊かなキャラクターたちにあります。
ストーリーを進めたり、ゲーム内ポイントを貯めたりすることで、
様々な動物たちをプレイアブルキャラクターとして解放できます。
肉食動物では、可愛らしいポメラニアンから、百獣の王ライオン、獰猛な土佐犬、
俊足のチーター、そして身近なネコまで。
草食動物では、のんびり屋のシマウマ、雄大なウマ、大きなカバ、
そして衝撃的なヒヨコまで、本当に多種多様なキャラクターが登場します。
さらに、プレイはできませんが、
明らかに危険すぎる動物たちもフィールドには闊歩しており、
いつどこで襲われるかわからない、スリル満点の世界が広がっています。
そして、このゲームの最大のサプライズが、
タイトルの通り「まさかのサラリーマン」がダウンロードコンテンツとして登場したこと!
スーツを着てアタッシュケースを持ったサラリーマンが、
動物たちの楽園である東京を闊歩するという、
そのギャップにドン引きしながらも、笑いが止まらない。
この突き抜けたセンスこそが、このゲームの真骨頂でしょう。
世代交代で最強の動物を育成せよ!
『TOKYO JUNGLE』には、大きく分けて2つのモードが用意されています。
- ストーリーモード: 荒廃した世界の謎を解き明かしていく、物語を楽しむモード。
- サバイバルモード: 好きな動物を選び、一つの命を生き抜き、子孫を残していくモード。
このゲームの真髄は、間違いなくサバイバルモードにあります。
広大な東京のフィールドには、
様々な動物たちがそれぞれの縄張りを築いて暮らしています。
プレイヤーの目的は、
その縄張りを奪い、自分のテリトリーを拡大していくことです。
肉食動物なら、他の動物を狩って食料にする。
草食動物なら、草や木の実を食べてカロリーを摂取する。
カロリーを摂ることで、キャラクターはどんどん成長し、
ルーキーからベテラン、そしてボスへと称号が上がっていきます。
称号が上がれば能力も向上し、狩りや縄張り争いが有利になるのです。
そして、このゲームの最もユニークなシステムが「世代交代」です。
サバイバルモードでは、
他のエリアにいる自分の仲間(同じ種類の動物)を探し、
結婚することで子孫を残すことができます。
子孫が生まれると、その世代は親の能力を少しずつ受け継ぎ、さらに強くなっていくのです。
これが、まさに育成ゲームとしての醍醐味!
特定のクエスト
(「特定の動物を倒せ」や「指定の場所へ行け」など)をクリアすることで、
子孫の能力パラメータが少しずつ上昇していきます。
地道にクエストをこなし、
世代交代を何十回、何百回と繰り返していくことで、
最初はか弱かった動物たちが、信じられないほどの進化を遂げていくのです。
そして、このシステムがあるからこそ、とんでもない展開が生まれます。
世代交代を繰り返したポメラニアンが、
百獣の王ライオンとタイマンを張れるようになる。
圧倒的なスピードを誇るチーターにも絶対に追いつかれない、
伝説のヤギが生まれる。
そんな、本来ならありえない「弱者が強者を喰らう」というアツい展開が、
このゲームの最大の魅力であり、多くのプレイヤーが熱中した理由なのです。
「能力が全然強くならない」という、愛すべき問題点
こんなに素晴らしい『TOKYO JUNGLE』ですが、
唯一、そして重大な問題点があります。
それは、「能力が全然強くならない」ということ。
クエストをクリアすることで、
子孫の能力パラメータは確かに上昇します。
しかし、その上がり幅が尋常じゃないほどに少ないのです。
それこそ、一つの動物の全パラメータをMAXにしようと思えば、
優に30時間以上はかかります。
登場するすべての動物を最強にしようと思ったら、
もしかしたら1000時間以上かかるかもしれません。
「ピラミッドの頂点を目指すのは、本当に厳しい」
そう思わせてくれるこの圧倒的なストイックさも、
このゲームの愛すべき魅力の一つと言えるでしょう。
「黄忠を三国一最強の老人に育てるぞ!」なんて、
あえて変なプレイで楽しむのが好きな人には、たまらないゲームかもしれません。
なぜ、今このゲームを遊ぶべきなのか?
『TOKYO JUNGLE』は、発売から10年以上経った今でも、
多くのファンに愛されています。
なぜ、これほどまでに熱狂的な支持を集めるのでしょうか?
- 弱者から王者を目指す「ジャンプ」的なストーリー:
ポメラニアンやヒヨコといった弱い動物が、
世代を重ねるごとに強くなり、最終的に最強のライオンを倒す。
その逆転劇は、まるで少年漫画の主人公になったかのような感動を与えてくれます。
- コツコツと強くなる「育成」の楽しさ:
最初は微々たるものでも、
少しずつ能力が上がっていくのを確認する楽しさ。
新しい動物が解放されていくワクワク感。
地道な努力が大きな成果につながるこの感覚こそが、このゲームの中毒性です。
- 強者が元から最高に強いという「理不尽さ」:
弱者は常に強者に怯えなければならない。
このリアルな弱肉強食の理不尽さが、
ゲームに深い緊張感とリアリティをもたらしています。
- その理不尽さをひっくり返す「夢の展開」
そして何より、その理不尽さを地道な努力でひっくり返すという、
夢のような展開こそがこのゲームの真骨頂です。
今もって、続編は出ていません。
しかし、これほど完成度が高く、熱中できるゲームなら、
いつかまたあの世界を体験したいと願わずにはいられません。
ポメラニアンを最強にしたり、ニワトリを最強にしたり、
ゴールデンレトリバーを最強にしたり……。
結局は王者のライオンを優先的に育成してしまう、
そんな矛盾すらも愛おしくなる作品です。
さあ、狩るか、狩られるか。
あなたの心に眠る狩猟本能を、このゲームで爆発させてみませんか?
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