スーパーファミコン史上、最も待たされる、将棋ゲーム? 思考の海に沈む、異色の名作
【数分間、一切動かない。その苦痛に耐えられるか?】
将棋ゲームは好きですか?
もしあなたがそうなら、これほどまでに辛く、そして惜しい将棋ゲームは他にないでしょう。
久しぶりに将棋ゲームを遊んでみようと思い、
手に取ったのが1991年にセタから発売されたスーパーファミコン用ソフト
『初段 森田将棋』でした。
そのゲーム性は非常に面白そうなのに、
ある一つのシステムが足を引っ張り、プレイヤーを苦痛の底に突き落とします。
シンプルだからこそ際立つ、特異なゲーム性
『初段 森田将棋』は、余計な味付けを一切しない、
将棋そのものを純粋に楽しむことに特化したゲームです。
用意されたモードも非常にシンプル。
- 入門教室: 初心者向けの、時間制限なしでハンデも設定できる優しいモード。
- 将棋道場: 3段階の難易度から選べる、実践的な対局モード。持ち時間も設定でき、リアルな対局が楽しめます。
- 段位獲得戦: このゲームのメインとなるモード。敵を倒し、エンディングを目指す、いわばストーリーモード。
- 詰将棋: 自分で詰将棋を作成し、コンピューターに解かせるという、非常にユニークで個性的なモード。
他の将棋ゲームにはない、シンプルさゆえの魅力が詰まっています。
しかし、このゲームが「異色の将棋ゲーム」と呼ばれる所以は、
そのシンプルなモードの裏に隠された、あまりにも理不尽なシステムにあります。
こちらは20秒、相手は無限。鬼のシステムに精神を削られる
将棋には「持ち時間」というルールがあります。
この時間内に指さなければ負けとなる、スリリングなルールです。
しかし、『初段 森田将棋』のメインモードである「段位獲得戦」では、
このルールがとんでもない形に変化します。
- こちらの持ち時間: わずか20秒
- 相手の持ち時間: 無限
しかも、こちらが時間切れになれば即ゲームオーバーという、
まさに鬼のようなシステムです。
「相手が無制限なのは酷いけど、こっちが圧倒すればいいだけの話だ」と
思うかもしれません。しかし、このゲームの恐ろしさは、ここからです。
このゲームのCPUは、平気で数分間、何も指してきません。
最新の将棋ゲームならば、
後半の複雑な局面で思考時間がかかることはありますが、
このゲームは序盤の数手でも、平気で数分間待たされます。
スーパーファミコンの処理能力の限界か、異常なまでに思考時間が長いのです。
そして、この「待つ」という時間が、
プレイヤーの精神力をゴリゴリと削っていきます。
何分も待って、ようやく相手が指したと思った瞬間、
こちらの持ち時間はたった20秒。
考える暇もなく、指さなければいけません。
一手指し間違えれば、一気に形勢が不利になるでしょう。
そして、また次の「無限の時間」を待つことになります。
他の将棋ゲームのように、
「休憩がてらテレビでも見るか」なんて余裕は一切ありません。
これは、盤面上の戦いだけでなく、
プレイヤーの集中力と精神力との戦いでもあるのです。
もしCPUが数秒で指してくれたら、
もしこちらにも豊富な持ち時間があったら、
きっと名作将棋ゲームとして語り継がれたことでしょう。
それほどまでに惜しい、理不尽な将棋ゲームなのです。
まとめ:なぜ今、この将棋ゲームを遊ぶべきなのか?
- 精神を鍛えるにはもってこいの修行
「20秒はあっという間だ」と心から思えるようになります。
このゲームをクリアすれば、どんなに焦る場面でも
冷静に考えられる精神力が身につくかもしれません。
- 本編以外は名作
メインモードは鬼のような難易度ですが、それ以外のモードは非常に優秀です。
持ち時間をふんだんに使ってじっくりと将棋を楽しめますし、
ハンデを付けて将棋に慣れることもできます。
CPUの思考が遅いという欠点はありますが、持ち時間さえあれば気になりません。
将棋の入門用としても、十分に使えます。
- 挑戦者求む!
このゲームの段位獲得戦をクリアした人は、心から尊敬します。
我こそはという将棋好きは、この修羅の国に挑戦してみてはいかがでしょうか?
鬼のような将棋ゲーム、それが『初段 森田将棋』という伝説なのです。
こちらから購入できます