システムが完璧なら間違いなく天下を取れたRPG『暴れん坊プリンセス』
最近は、積んでいたゲームを崩す日々です。
ハック&スラッシュ系のゲームに行き詰まり、
気分転換にと手を出したのは、かつてあまりの難しさに挫折した一本でした。
それが今回ご紹介する、『暴れん坊プリンセス』!
十数年の時を経て再びプレイしたことで、
このゲームへの評価は100倍に跳ね上がりました。
桝田省治さんの手掛けた作品といえば、
個性的ながらも圧倒的な面白さで知られています。
本作もまた、多くの期待を背負って
2001年に角川書店からPlayStation®2で発売されたRPGアドベンチャーです。
『暴れん坊プリンセス』ってどんなゲーム?
物語の舞台は、貧しい王国。
あなたは、
お姫様「ルージュ」を守る聖騎士「シオン」となり、
王国に迫る危機、そして世界に起こる異変に立ち向かいます。
まるで時代劇の「水戸黄門」のように、
行く先々で事件を解決していくのが基本的な流れ。
しかし、このお姫様、
ただの可憐なプリンセスではありません。
彼女の中には「青龍」という厄介な存在が封印されており、
ひとたび怒りが爆発すると、手がつけられない
“暴れん坊プリンセス”へと変貌してしまうのです!
そんな破天荒な姫を守るため、
個性豊かな仲間たちが必死に奮闘する姿もまた、
この物語の大きな魅力。
コメディあり、シリアスな展開あり、そして感動あり…と、
まさに物語重視の作品なんです。
RPGでありながら「物語」が主役
ゲームのシステムは、
コマンド選択式のRPGでありながら、
その実態はほぼアドベンチャーゲームでした。
エピソードごとにボス戦が用意されていますが、
基本的に戦闘は1エピソードにつき1回、多くても数回程度です。
エンディングまでプレイしても、
戦闘回数は十数回に満たないほど。
もはや「RPG」というジャンルはおまけ程度だと考えてもいいかもしれません。
では、このゲームで何を楽しむのか?
それはもう、ひたすらに「物語」なんです。
この物語の素晴らしさがあったからこそ、
多くのプレイヤーが最後の最後までプレイを続けられたと言えるでしょう。
途中で投げ出した人は「クソゲー」と評価するかもしれません。
でも、最後までやりこんだ人にはきっと「神ゲー」となるはず。
今の時代にこそ再評価してほしい、
そんな物語重視のRPGを、ぜひあなたも体験してみませんか?
一度体験したら忘れられない、最高の物語体験
私は物語重視のRPGが大好きなのですが、
『暴れん坊プリンセス』の物語は、
まさにトップクラスの傑作だと断言できます。
最初は「勧善懲悪の王道ストーリーかな?」と思うかもしれません。
事件が起こり、お姫様が解決し、また新たな事件が舞い込む…という展開は、
まさに王道。
しかし、この「王道」がとんでもなく素晴らしいんです。
基本はコメディ要素満載で進みますが、
随所でかなりシリアスな展開が挟み込まれるため、
常に気が抜けない物語が楽しめます。
あまりネタバレはしたくないのですが、
記念すべき第1話の衝撃的なシーンだけご紹介させてください。
魔物への尋問シーンがあります。
その魔物は、ひどいことをしたとんでもないやつ。
あなたは「質問に答えたら命だけは助けてあげる」と約束し、
普通にイベントを進めます。
質問が終わり、
「これで魔物を逃がしてめでたしめでたし…」
なんて展開で終わると思ったら大間違い!
普通に魔物を退治するんです。
「命を助けてあげる」と言っておきながら、
情報を引き出したら容赦なく命を奪う。
この衝撃は忘れられませんでした。
お姫様であり、主人公であるにも関わらず、
とんでもない狂気に満ちている。
これが第1話なんです。
最初はコメディで油断させておいて、
最後はとんでもない結末で突き放す。
「とんでもないゲームを掴んでしまった…」そう思わせるには、
最高の始まりだったと言えるでしょう。
この後も様々な事件を解決していくのですが、
常にあの狂気のお姫様の記憶が頭をよぎり、常にヒヤヒヤさせられます。
この得体のしれない恐怖と付き合っていくのも、
このゲームの醍醐味だったのかもしれません。
さすが『俺の屍を越えてゆけ』、『リンダキューブ』を手掛けた桝田省治さんの作品。
一筋縄ではいきません。
この物語の魅力に引き込まれたら、
「絶対に最後まで遊んでやる!」と、きっと心に決めるはずです。
自信を持って言います。
今までプレイした桝田ゲームの中で、この物語は間違いなくトップです!!
プレイヤーの選択が物語を紡ぐ「好感度システム」
システム面で特に面白かったのが、好感度を上げるシステムです。
1つのエピソードは大体2時間ほどの長さで、
街を探索しながら事件のヒントを探していくのですが。
この間に「細かいイベント」が大量に発生します。
そこで表示される選択肢を選ぶことで物語を進めていくのですが、
この選択がキャラクターたちの「好感度」に影響するんです。
ギャグで返すのか、シリアスに返すのか、それとも普通に返すのか…。
あなたの選んだ選択肢によって、仲間たちの好感度が変化します。
そしてこの好感度が、
なんと最後の戦闘の難易度にも影響するんです。
『サクラ大戦』のRPG版だと考えると分かりやすいかもしれません。
この選択肢の面白さも素晴らしく、
「ギャグで返したいけど、さすがにここはシリアスかな?」なんて、
何度もプレイしたくなる魅力がありました。
素晴らしい物語に、自分自身も参加できる。
そんな、奥深いシステムがこのゲームにはあったんです。
天才的な物語を「鬼畜な難易度」が阻む
物語も素晴らしい。
アドベンチャーパートも素晴らしい。
それなのに、なぜ「クソゲー」扱いされた時期があったのか?
それは、RPGパートがとんでもない「鬼畜な難易度」だったからに尽きます。
RPGといえば、
レベルを上げて、装備を整え、強敵に立ち向かうのが醍醐味ですよね。
しかしこのゲームには、
レベルもお金もありません。
あるのは装備品の変更(イベントで支給されます)と、
先述の好感度システムだけ。
そこをうまく調整して、知力だけで戦い抜くしかないんです。
最も大変なのが、
「相性を考えて敵と戦わなければいけない」というシステムです。
基本はじゃんけんに似ていて、
「グー」「チョキ」「パー」のような攻撃を、
敵の行動パターンを予測しながらうまく立ち回らなければなりません。
これが本当に難解でした。
相手の行動パターンはいくつか用意されており、
これを読み切らないと永遠にクリアできません。
リトライはすぐにできるので連戦は苦にはならないのですが、
ほんの少しのミスであっという間にゲームオーバーになってしまうため、
常にものすごい緊張感がつきまといます。
私もこの戦闘シーンでつまづき、
第4話くらいで力尽きていました。
正直、この戦闘システムではなく、
もっと一般的なRPGとして発売されていたら、
とんでもない傑作になっていたと断言できます。
それほど、この厄介な戦闘システムが
最後まで足を引っ張っていたのは否めません。
ロードが少し長いという点もありますが、
結局のところ、このゲームの評価を分ける最大の要因は、
戦闘シーンの難しさに集約されるでしょう。
後半の難易度は平気で数時間足止めされるほどで、
敵を倒せただけで涙が出るほど嬉しい。そんなRPG屈指の激ムズゲームなんです。
今こそ『暴れん坊プリンセス』に挑戦する理由
- 最高の物語体験をしたい!
- 奥深いアドベンチャーパートを楽しみたい!
- 胃が痛くなるほどの難易度に挑戦し、達成感を味わいたい!
このゲームは、エピソードをクリアするごとに
「おまけ」が手に入ります。
ゲーム内のパロディ集や声優さんのインタビューなど、
様々なおまけを集めていくのが非常に面白いんです。
そしてこのおまけの数は、
戦闘の結果(早く倒せたか、被害は少なかったか、好感度を高く保てたかなど)によって
変わってきます。
激ムズの戦闘シーンが、このおまけ集めに直結しているため、
特典コンプリートを目指すなら必死に戦うしかありません。
次にどんなおまけが解禁されるのかを想像しながらプレイするのも楽しいです。
昔の私にはクリアできませんでしたが、
今回はなんとかクリアすることができました。
「どうやったら勝てるのか?」を徹底的に考える必要があるので、
お手軽なRPGとは決して言えません。
しかし、何度もやり直して相手の行動パターンを理解すれば、
必ず道は開けます。
特に、第6話あたりから物語の展開がどんどん面白くなっていきます。
先の展開を想像しながら、
ぜひこの素晴らしい物語のために頑張ってほしいです。
エンディングを見た後には、
「これは間違いなく神ゲーだった!」と、あなたもきっと思うはず。
最初は「クソゲー」に思えても、最後まで遊びきると「神ゲー」になる
それこそが、今このゲームを買ってほしい最大の理由なのでした
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