格安ミサイルこそが最強の真理!? データ消失の絶望を乗り越えろ!
レトロゲームを愛する者にとって、最も恐ろしい悪夢。
それは、突然のデータ消失に他なりません。
せっかく時間をかけて築き上げたセーブデータが、
一夜にして新品同様に戻ってしまう……。
まさにこの世の地獄が凝縮されたような体験です。
今でこそ「レトロフリーク」のような便利なツールが登場し、
バックアップの弱さを気にせず遊べる時代になりましたが、
未だ実機でのプレイにこだわるあなたにとって、
データの消失は、切っても切れない宿命のようなものでしょう。
今回ご紹介するのは、
そんな「久しぶりにデータが消えて絶望した」という、
悲痛な叫びと共に語られる一本。
1993年、ビクターからスーパーファミコン向けに発売された
アクション・シミュレーションゲーム『バトルテック』です。
『メックウォリア』がSFCに降臨! 傭兵稼業で仇討ちを目指す、硬派なFPS体験
「バトルテック」というタイトルに馴染みがなくても、
「メックウォリア」という名前ならば、ピンとくる方も多いかもしれません。
巨大なロボット「メック」を軸に展開されるこのシリーズは、
アドベンチャー、シミュレーション、アクションと、
多岐にわたるジャンルで展開される人気シリーズでした。
そして、その記念すべきスーパーファミコン版が、
この『バトルテック』なのです。
ゲームの目的は、
家族の仇を討つため、傭兵として自らの名を上げ、
復讐相手の情報を収集するために様々なミッションをこなしていくこと。
システムは、いわゆるFPSと呼ばれる、
自分視点で戦うアクションゲームです。
巨大なメカを操縦する没入感は、当時のSFCとしては驚くべきクオリティでした。
基本的なゲームの流れは、
ミッションをクリアしてお金を貯め、自慢のメックを強化し、
傭兵としての地位を上げていくというもの。
最初は安価な仕事ばかりで、特に世界情勢に関わることはありません。
小さな島に出撃して2体程度の雑魚ロボットを倒し、
ささやかな小銭を稼ぐ。
少し割の良い仕事を紹介してもらって、
また3体ほどの雑魚ロボットを倒し、地道に資金を貯める。
ある程度お金が貯まれば、
新品のメックを購入するもよし、相棒のメックに高級なミサイルを積むもよし。
こうして傭兵稼業を繰り返しながら、
家族の仇討ちへと道を切り開いていくのです。
遠近様々なバリエーション豊富な武器を交換しながら戦いを進めるのも、
このゲームの大きな魅力です。
- 近くの敵を攻撃する:マシンガン、ランサー、キャノン
- 遠くの敵を攻撃する:ショートミサイル、ミドルミサイル、ロングミサイル
しかし、メックに限界まで武器で積みすぎれば
「熱暴走」を起こして全く動けなくなるし、
逆に武器が少なすぎれば途中で弾薬が尽きてクリア不能になる。
このジレンマを味わいながら、
理想のセッティングを考えるのは、
まるでプラモデルを組み立てているかのような、至福の時間です。
敵のミサイルが3発当たっただけで即破壊されるような
「紙装甲」のメックを作るもよし。
30発当たってもビクともしない
「鉄壁」のメックを組み上げるもよし。
自分なりのメックを試行錯誤しながら作り上げていく楽しさは、
メカいじり好きにはたまらないでしょう。
「修理費」という名の地獄! リアルな経済システムがプレイヤーを追い詰める
このゲームは、その硬派なシステムゆえに、非常に面白い作品です。
特に『アーマードコア』が好きなあなたなら、きっとハマるでしょう。
お金を稼いで
「どんなメックを買おうかな?」
「どんなセッティングにしようかな?」と考えるのは、純粋に楽しい時間です。
お金稼ぎが楽しいゲームにハズレはありませんからね。
その点でも最高の評価を与えられます。
しかし、この「お金を稼ぐ」という行為が、
このゲームではとんでもなく大変なのです。
普通のアクションゲームであれば、
どれだけダメージを受けようが、ミサイルを撃ちまくろうが、基本的にはタダ。
どんなにボロボロで帰ってきても、
次のミッションには完璧な状態で立ち向かえるのが常識です。
ところが、この『バトルテック』は違います。
出撃するたびに、相棒のメックを修理しなければならず、
この行為を怠れば、ボロボロの状態で出撃を余儀なくされます。
初めて遊んだ頃は「なんでこんなに装甲が脆いんだ?」と首を傾げたかもしれませんが、
自分で修理に出さなければならないとは、思いもよらなかったことでしょう。
ボロボロのメックを直すには、当然お金がかかります。
ボロボロの装甲を直すのに5万円
全弾使い切ったミサイルを補充するのに5万円
なのに、苦労して稼いだお金は9万円
結果、死ぬ気で戦って1万円の赤字……。
こんな「リアル」な状況が、容赦なくプレイヤーに突きつけられます。
簡単だけど給料が安いミッションと、
難しいけれど給料が高いミッションが豊富に用意されています。
そして『モンスターハンター』のように、
キークエストをクリアすることで
自分の傭兵としての地位が上がっていくシステムです。
しかし、何も考えずにキークエストばかりを選び、
バンバンクリアし続けてしまうと、
イベントはどんどん進み、もらえる給料も上がる反面、
難易度も同時に跳ね上がっていきます。
『モンスターハンター』なら
過去の簡単なクエストに戻って稼ぐことも可能ですが、
本作では過去の簡単なミッションを選ぶことはできません。
その結果どうなるのか?
- 難易度が異常なほど高くなり、どうしようもなくなる。
- メックがボロボロになる。
- ボロボロのメックを治すお金がなくなる。
- そして……データを消すしかなくなる。
- 泣く。(;´・ω・)
こんな悲劇が、あなたを襲うのです。
「2時間遊んだデータを、自分で消す」という絶望的な状況は、
辛すぎるとしか言いようがありません。
ゲームに慣れてくれば、
「弾数制限がない武器」を効果的に使って、
そのぶんのお金を節約することも可能になり、
結果的にゲームのテクニックが上がっていくでしょう。
しかし、それまでは
「このタイミングでセーブして、お金は大丈夫かな?」と、
常に不安を抱えながらのプレイを強いられます。
店には魅力的なメックが並んでいるのに、
振り返れば直すことすらできないボロボロのメック……。
「修理費はタダにするね」という、
他のゲームでは当たり前のお約束を真っ向から否定した、
リアルすぎるシステムが、この『バトルテック』という硬派な作品の真骨頂なのです。
スライムに50回やられる難易度? いいえ、最初の街で「ロトの剣」が買える狂気です!
このゲームは、はっきり言ってとんでもなく難しいです。
最初のミッションをクリアするのに、1時間かかりました。
死んだ回数で言えば、50回以上は死んだでしょう。
「バトルテックって何だろう?」
「アーマードコアみたいで面白そうだな?」と軽い気持ちで始めたのに、
初めてのミッションで50回以上死ぬ。
他のゲームに例えるのならば、
『スーパーマリオ』の1-1で50回死ぬようなものですし、
『ドラゴンクエスト』のスライムに50回やられるようなものです。
最初のステージでこれほど難しいのなら、
この後のステージをどう突破すればいいのか、途方に暮れてしまうでしょう。
そんな時に、あなたは
「プラクティスモード」というトレーニングモードを発見するかもしれません。
早速試してみると、
このモードは「全ての武器を積んだ状態のメック」を操ることができ、
「この武器はこんな性能なんだな」というのを学ぶことができます。
しかし、このプラクティスモードをクリアするのに、まさかの10回以上かかる。
「これで操作性を覚えてね」という優しいモードなのに、
10回以上死ぬという、何とも言えない難易度設定。
しかし、このモードを遊んだことで、
あなたはついにこのゲームの本質を理解することになるでしょう。
「あれ? ミサイル、強すぎじゃない?」と。
このゲームは、
自分で照準を合わせて敵のメックに攻撃を当てるシステムです。
この照準を合わせるのが本当に大変で、
合わせようと近づいたところで周りの敵に蜂の巣にされるのが、
あなたの「黄金パターン」だったかもしれません。
しかし、「ミサイル」という武器が、
この『バトルテック』の世界を一変させるのです。
ミサイルは遠くの敵をロックオンしてくれます。
今まで近づいて蜂の巣にされていたあなたは、
今度は逆に遠くから敵を蜂の巣にしてやることができるのです。
相手のメックは
「強力だけど射程が短い武器」がメインですから、
こちらに近づいてくる頃にはもうボロボロ。
ようやくたどり着いたとしても、その時には撃破される運命です。
ミサイルには距離が設定されており、
遠くに届く優秀なミサイルほど、撃てる弾数が少なくなります。
ミッションには、
広いステージもあれば、狭いステージでの激しい戦いもあります。
だからこそ、ステージごとに
「このステージは狭いからショートミサイルで戦おう」
「このステージはめちゃくちゃ広いからロングミサイルで遠くから戦おう」と、
必死に考えるのです。
そして、この考えにたどり着いた瞬間、
今までクリアできなかったステージを、
なんとノーダメージでクリアできるようになります。
初期装備のマシンガンとランサーを売り払い、積めるだけミサイルを積む。
たったこれだけで、ゲームはサクサク進むようになるのです。
そして、試行錯誤を繰り返してたどり着いた「最強のセッティング」。
それは、なんと「格安のショートミサイルをフルで積む」というものでした。
高級な武器が数あれど、結果的には格安のショートミサイルが最強だったのです。
- 弾数が50発とミサイルの中で最も多い。
- ショートミサイルと言いながらも、かなりの範囲に届く。
- ミサイルを発射するスピードが、マシンガン並みに素早いので、近づかれても相手を瞬殺できる。
- 格安武器という設定なので、フルで積んでも熱暴走を起こすこともない。
こんな良いところばかりの最強武器でした。
マシンガンを打ち込んでも全く倒すことができなかった頑丈なメックが、
ショートミサイルを10発程度打ち込めばすぐに破壊できるのですから、
「最強の武器が、最初の店で買えるんだ!」と、あなたはきっと驚愕する。
スライムに50回やられるような異常な難易度でありながら、
最初の街に「ロトの剣」が普通に売っている。
そんな、最強のセッティングを開始30分で揃えることができる、豪快な作品なのです。
データ消失の恐怖すらも愛おしい、骨太アクションシミュレーションの金字塔
なぜ、このゲームを遊んでほしいのか?
ゲームの難易度はかなり高めですが、
だからこそ、ステージをクリアできた時の快感は最高です。
骨太なアクションゲームが好きなあなたには、絶対にお勧めします。
何がそんなに面白いのか?
プラモデルを作るような感覚で、様々なセッティングを試すのは最高の楽しさです。
ゲームが上手い人ほど、多くの武器を使いこなすことができますから、
何倍も楽しい戦いができるでしょう。
今すぐ買う理由があるのか?
この『バトルテック』、私も久しぶりに遊びました。
昔は全くクリアできなかったので、
「今回こそは絶対にクリアするぞ」とリベンジに挑んだのです。
昔遊んだ時には全く気付くことがなかった
「ショートミサイルの圧倒的な強さ」に気付くことができ、
どんどん当時の記録を更新していきました。
このゲームはストーリーがほとんどありませんから、
ステージをクリアするテクニックさえあれば、かなりサクサク進みます。
そして10時間ほど遊び、
「このミッションをクリアしたら、ボスの居場所を教えてやろう」という
最終イベントが発生する場所までたどり着けました。
「このイベントさえクリアできれば、エンディングまでもう少しだ!」
しかし、その次の日には、データが全て消えていました。
データは3つまでセーブできるのですが、
その3つが、きれいにさっぱり消えていたのです……。
だから、めちゃくちゃ大好きなゲームなのに、
エンディング画面は見たことがない。
というか、ラスボスの名前すら知らない。
そんな悔しさが、私にはありました。
一週間みっちり遊びまくって、次の日にはデータが全て消え去る。
こんな恐怖も含めて、レトロゲームなのかもしれません。
しかし、ゲームの楽しさは一級品です。
ぜひこの機会に、私が見ることができなかったエンディング画面を、
あなたの目で確かめてみてください。
それこそが、今すぐ3『バトルテック』を買う理由です。
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