主人公は悪の組織の大幹部!斬新な発想が光るシミュレーションゲーム『秘密結社Q』
「悪の組織の視点でゲームをプレイする」
そんなひねくれた願望を抱いたことはありませんか?
1998年にライトスタッフからPlayStation向けに発売された
シミュレーションゲーム**『秘密結社Q』**は、
まさにその夢を叶えてくれる作品です。
最初はコミカルな「バカゲー」だと思いきや、
物語が進むにつれてシリアスな展開へと舵を切り、
最後には涙なしには語れない感動が待っています。
悪の組織を率いて世界征服を目指せ!
このゲームの目的は、
正義のヒーローを倒すことです。
プレイヤーは、
いつもヒーローにやられている「悪の組織の大幹部」となり、
改造人間軍団を指揮して世界を破壊していきます。
これは、当時としては類を見ないほどダークで斬新な設定でした。
ゲームシステムは
『スーパーロボット大戦』や『ファイアーエムブレム』のような
シミュレーションRPGに似ており、
オーソドックスながらも奥深い戦略が楽しめます。
物語は「幼稚園のバスジャック」といった、
いかにも特撮ヒーロー番組のお約束的な展開からスタート。
任務達成かと思いきや、
颯爽と現れる正義のヒーロー「ライオット」に阻まれます。
ライオットの強さは圧倒的で、
1対10でも平気で蹴散らすほどの強者ぶりを見せつけられます。
シナリオごとにコミカルな展開が繰り広げられるため、
最初は完全に「バカゲー」だと思っていました。
しかし、ゲームを進めるにつれて
ヒーローや主人公の過去が明らかになり、
物語は徐々にシリアスな展開へと変貌していきます。
悪の組織の幹部として、世界を滅亡へと導く。
そんな痺れるような体験ができるシミュレーションゲーム、
それが『秘密結社Q』なのです。
ヒーロー番組を「悪側」の立場で体験する面白さ
『秘密結社Q』は、
オープニングからシナリオ、次回予告、そしてエンディングテーマまで、
まるでヒーロー番組そのもののような構成で進行します
(『サクラ大戦』のようなゲームを想像していただけると分かりやすいかもしれません)。
毎回新たな怪人が登場し、
正義の味方と対決する展開は、
いかに怪人でヒーローを倒すかが重要になってきます。
雑魚の戦闘員もいますが、
戦力になるのは主人公と怪人くらいなもの。
だからこそ、
ヒーローがいかに強く、
彼らと戦うことがいかに命がけなのかを痛感できます。
必死で倒した正義の味方が、
次のシナリオでは別のヒーローとしてすぐに登場したり。
自分の相棒だった仲間が実は正義の味方の親友だったり。
一度倒したヒーローが
パワーアップして舞い戻ってきたり……。
正義の目線で見れば燃えるような展開ですが、
「悪の組織の立場だと、これほどまでに辛いのか!」というのを体験できるのが、
『秘密結社Q』の最高の魅力です。
ストーリーの衝撃的な展開に涙する
このゲームは、本当に「バカ」な要素が満載です。
味方の戦闘員には「弱点:NHKの集金」や「弱点:初回特典という響き」など、
ゲームとは全く関係のないユニークな設定がされており、
思わず笑ってしまう場面も多々あります。
しかし、物語が後半に進むにつれて、
この「バカゲー」という印象は一変します。
主人公の生い立ちが明らかになるにつれて、
物語はどんどんシリアスな展開へ。
次に何が起こるのか、という期待感がプレイヤーを惹きつけ、
物語を体験したくて、どんどんプレイを進めてしまいます。
前半の「バカすぎる」展開と、
後半の「シリアスすぎる」展開。
この温度差が絶妙に効果的で、
気づけば物語に深く感情移入し、感動で胸がいっぱいになっていることでしょう。
さらに、本作はプレイヤーの選択肢によって
エンディングが分岐する、マルチエンディングを採用しています。
悪の組織として国家転覆を目指すのか
それとも正義の味方と手を組むのか…。
なんて感じで、
自分の望むエンディングを選べるのも素晴らしい点でした。
もし悪側のルートしか選べなかったら
伝説のゲームになったかもしれませんが、
それだけではこの深い感動は味わえなかったでしょうからね。
正義と悪という相反するストーリーのせめぎ合いを、
バカゲーというオブラートに包んで見事に表現する。
この展開の上手さこそが、最高に感動できた理由なのだと思います。
レベルの概念が意味を持たない!?ユニークなシステム
『秘密結社Q』は
『スパロボ』のようなシミュレーションRPGですが、一つユニークな点があります。
それは、レベルの概念がほとんど意味を持たないことです。
敵を倒せば経験値が入り、
キャラクターのレベルが上がるオーソドックスなシステムですからね。
「戦闘員のレベルを上げまくって、怪人並の強さにしよう!」と考えました。
基本的に戦闘員は「捨て駒」です。
ヒーローのエネルギーを消費させるための「噛ませ犬」であり、
とどめは怪人や主人公が刺す、という戦い方が基本です。
しかし、レベルシステムがあるなら、
「育てれば強くなるはずだ」と期待したのです。
しかし、そんな夢のようなことはできませんでした。
なぜなら、シナリオが終わると、
主人公以外の味方はすべていなくなってしまうからです。
どんなにレベルを上げようとも、
次のシナリオでは仲間が入れ替わり、
しかも仲間のレベルはステージ固定。
主人公のレベルをいくら上げても、
次のシナリオでは「それ以上のレベルになって出撃」という、
なかなかに斬新なシステムになっていました。
怪人をMAXまでレベルアップさせて
ヒーローを一撃で破壊したり
戦闘員を鍛えまくって、最強の軍団を目指したり
色々な面白さがあったんでしょうけどね。
レベルを上げても、
それがまったく意味を持たないのが、このゲーム唯一の残念な点でした。
もしこの点が改善されていれば、
『秘密結社Q』はもっと多くのシリーズが続いたかもしれません。
『秘密結社Q』を今すぐ買う理由
誰もが一度は抱くであろう
「悪の目線でゲームを楽しみたい」というひねくれた願望を叶えてくれるのが、
この『秘密結社Q』という「バカゲー」です。
悪の幹部となって、
正義のヒーローにどうやって土をつけるかを真剣に考える。
「悪の大首領」のような展開は最高に楽しめます。
当時のシミュレーションゲームでは珍しい
「戦闘シーンのオフ機能」も搭載されているため、
時間がない人でもサクサク楽しめるのも嬉しいポイントです。
悪のまま世界を破滅に導くのか
それとも正義と共闘して、世界を正しい方向へと変えていくのか
全てはあなた次第です。
懐かしの特撮ヒーローあるあるが、
ふんだんに盛り込まれたこの作品を、ぜひとも体験してみてください。
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